(JFNのラジオ番組Day By Dayにレポートした内容を再構成しています)
ニューヨークはもう秋の気配で、この季節恒例の全米オープンテニス開催中。そして今週末は3連休で、来週はいよいよ新学期スタート。ところがそんな楽しい行事に影を落とすような出来事が続いています。
日本の火曜日の早朝、アメリカにも速報が入りました。北朝鮮のミサイルが、北海道上空を通って太平洋に落ちたというニュース。このところ「アメリカに達する核ミサイルの開発間近」という報道や政府の対応を裏付けるものとして、アメリカ人もゾっとしました。
これに対しトランプ大統領は声明を発表し、「軍事行動を含むすべてのオプションがテーブルに上がっている」と改めて明言。さらに今日になってツイッターで「もう対話しても意味がない 」ところがそれをカバーするようにマチス国防長官は「まだまだ対話の余地はある。」
大統領が過激な発言をすると、閣僚がカバーに入るというパターンが定着した感がありますが、この強い姿勢は、中国にプレッシャーをかけるためという分析もあります。
それでもトランプ大統領が普段ほど激しく反応していないのは理由があります。今アメリカ南部のテキサス、ヒューストン周辺で、ハリケーンによる史上最悪と言われる水害が続いているからです。これまでに降った雨量はアメリカ本土の最高記録で、 1250ミリ以上。水に浸かった家からボートやヘリで救出された人、既に1万3千人以上。このハリケーン・ハービーの現状を今日はレポートします。
テキサス州ヒューストンといえば、アメリカで4つ目に大きな巨大都市、そのヒューストンに先週金曜日、カテゴリー4の大型ハリケーン・ハービーが上陸。すぐにTropical Storm熱帯性低気圧になったのですが、今も壊滅的な被害をもたらしています。問題は大雨です。
テレビでは、 見渡す限り水に浸かり、湖のようになった街の映像が、次々に映し出されています。避難したくてもボートが足りず、エアマットや冷蔵庫をボート代わりにしたり、水に腰や首まで浸かって避難する人たち。老人ホームや避難所までが水に浸かってしまっているという、衝撃的な映像がどんどん入ってきています。テキサスというのはアメリカを代表する原油の産地のひとつですが、化学工場も多い。その一つが水没して、爆発するかもしれないという恐ろしいニュースもあります。
そして被害がここまで大きくなった最大の理由は、このハービーが実に3日間ほとんど同じ場所に居座って動かず、雨を降らせ続けたからです。しかもその後一度海(メキシコ湾)に戻り、今日2回目の上陸をしました。これで降った雨で、新たに2つの町の全域が水に浸かりました。
これまでに亡くなった人は38人と伝えられていますが、水が引いてみないと被害の全容は見えない。そして、水が引くまでに少なくとも1週間はかかるとみられています。
この大雨、100年、いや500年に一度の洪水と言われていますが、考えてしまうのは地球温暖化です。
多くの科学者は、温暖化の影響が被害を大きくしたのは間違いないと考えています。まずここ20年くらいで、メキシコ湾の海面の高さは15センチも上昇。つまり沿岸に洪水が起きやすくなっている。そして20年で平均気温も1〜1.5度上昇、すると海水が蒸発して湿度が上がり、雨雲ができやすい。
そして最後に、低気圧が何日も同じ場所に居座るという、変わりにくい夏のお天気パターン、これも温暖化の影響である可能性が高いという科学者もいます。
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