(JFN系全国ネット ON THE PLANETで月〜木で放送しているNYレポートを再構成しています、月曜日の担当はマシュー・まさる・バロンさんです。)
9月25日(月)
しばらくニューヨークを離れていて 戻ってきて驚きました。アメリカ、以前に増して混迷しています。
今日月曜日、このところエスカレートしてきた北朝鮮問題がニュースのトップになっていたかもしれなかった。ところが、アメリカではトランプ大統領の発言をきっかけに再び国を揺るがす大論争が。
ことの起こりはトランプ大統領が金曜日、支持者の集会で、
「プロスポーツの試合の前の国歌の時に、膝まづくような選手は、国を侮辱している。即刻クビだ!」と言ったこと。
アメリカではNFLフットボールの試合など、ゲームの前に必ずシンガーが出てきて国歌を歌うのが伝統。お客さんも全員立って敬意を表する。
ところがちょうど一年前にある黒人選手コリン・カパーニックが、国歌の時に膝まづいた。その行為には、黒人に対する、警察の行き過ぎた暴力に抗議するメッセージが込められていた。それに対し、スポーツに政治を持ち込むのはどうだろう?と批判があったが、メッセージ自体には同情的な意見も多かった。どちらにせよ、そこまで大きな論争にはならなかった。
ところがトランプ大統領が、そんな奴はクビだ!と強く言いきったものだから、アメリカ社会は一斉に反発。数百万という抗議のツイートがされ、さらに日曜日(フットボールのゲームがある日)全米のチームの選手の多くが国歌の時に、膝まづくか、または選手、時にはオーナーも一緒に腕を組んだり、国家の演奏の時にロッカールームにこもって事実上ボイコットした。それだけではない、各地で行われたコンサートでは、スティービー・ワンダーも、ファレルも膝まづいた。
人種差別に反対することは言論の自由でもあり、国を侮辱しているわけではないよ。私たちは一致団結してそれを支持するよ、という強いメッセージを出したんです。
トランプ大統領はこれに対し「国を侮辱するNFLなんて退屈なゲームにますます客が来なくなる」とツイートし、ますます火に油をそそぐ状況に。
結果的に、国歌で立つか座るかで国を分断する結果になっている。これは前回の、白人至上主義者をかばうような発言をした時と同じ状況。
おかげで他のニュース報道が減っていますが、北朝鮮情勢に関して言うと、アメリカでは核戦争への恐怖が、数週間前とは比較にならないくらい強まっている。
先週、国連での演説でトランプ大統領がキム・ジョンウンをロケットマンと呼び、それに対し、北朝鮮が太平洋上での水爆実験をほのめかした。さらに今日になって北朝鮮外相は「トランプ大統領はツイッターで宣戦布告した」とコメント。だから米国の軍用機を打ち落としても構わない、と。
このような情勢の中であまり目立たないけれど、日本に関する報道も。
安倍首相の衆院解散、今なぜ?という理由を、NYタイムスとロイター通信の論調では、「北朝鮮への国民の不安が高まり、同時に対抗勢力が弱まっているこのタイミングで、国民の信任を問おうとしている」とコメントしています。
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