全米NO.1映画Crazy Rich Asiansがアメリカを変える理由 Why Crazy Rich Asians Will Change Hollywood?

082818

今日は久々に映画レポート。先々週公開され興行成績2週連続ナンバーワン、大ヒットを続ける「Crazy Rich Asians(邦題クレイジー・リッチ)」です。

そのタイトルからもわかるようにアジア人が主役。

しかもキャスト全員アジア人かアジア系という映画がハリウッドで作られたのは、1993年の「Joy Luck Club」以来実に25年ぶり出そう!なぜ25年もかかったのかは後半でお伝えするとして・・・

ストーリーはこんな感じ。ニューヨークに住む台湾系の若いミレニアル世代のアメリカ女性レイチェルが、シンガポール出身の彼ニックと一緒に彼の実家に行くと、

その家はアジア近辺で知らぬ者はいない華僑の超名家、クレイジー・リッチだった。そこでニックの母親や元カノなどのキツイいじめ・階級差別を受けながらも、知恵と勇気で立ち向かうと言うロマコメ。とても面白くできていてキャラもアクターも魅力的。

ある意味ありがちなシンデレラストーリーだけどそう見えないのは、

もうとにかくリッチぶりがハンパない。

若い女性が1億2千万円のイヤリングをポンと買ったり、グレートギャツビーですか?と思うような邸宅の豪勢なパーティだったり、これがヨーロッパやアメリカのような西洋でなく、シンガポールというのが新しい。

そのリッチ度も、大げさに誇張している訳ではないらしい。映画の原作はアメリカで大ベストセラーになった同名の小説で、原作者のシンガポール系アメリカ人Kevin Kwanは、そう言う生活を実際に体験。その彼が映画を監修しているからリアル。

しかも、今の社会、政治状況みると、このリッチ度納得できてしまう。世界一のリッチはもうアメリカではなく、アジアということをアメリカ人が見て爆笑しながら痛感する・・・みたいな場面も。(アメリカ人の子供は貧しいから皆痩せている、なんている皮肉なジョークが!)

逆にこういう映画が作られたのも、アジアのエコノミックパワーが高まったから。アメリカ国内のアジア人の数は増えてはいるが、まだ人口の6%に満たない。ところが今はアジア全体の経済力が上がってマーケットが広がっているからハリウッドはこうした国に輸出できる。

もう一つはアメリカ国内のアジアブームで、日本食を含むアジアの食が大人気、K-POPも大躍進中、ちょっと前から続いている日本のアニメブームなどがごった煮になって、アジアへの関心をどんどん高めている。

そんな中でもアジア人に対するステレオタイプがある。日本人ならひと昔前までサムライかゲイシャ、80年代はグレイのスーツの無表情なサラリーマン。(これ実はアニメのおかげで払拭されたんです)ハリウッドでは今でもアジア人女性の役といえば、愛人か薬剤師というステレオタイプがあるらしい。

でもこの映画ではそういうものは一切排除して、アジア人の素顔を見せたことはとても大きい。

だからアジア人の特色がよく出ている。大富豪だけど親から子供にギョウザの作り方を教え、 文化を大事にするところ。
その反面こんな場面も。生まれた土地を離れてアメリカに行った息子に対して「アメリカナイズされて別の人間になってしまった」そのフィアンセに対して「顔はチャイニーズだけど、中身はアメリカ人、自分たちとは違う」

身に覚えがある人いるのでは?

アメリカ人が誰でも知ってるヒット曲を中国語で歌ったのを散りばめているので、それがまたハマるという、本当によく考えられた映画。

Crazy Rich Asiansは既に続編が作られるようだし、今後アジア人によるハリウッド映画は増えて行くでしょうから、そういう意味ではハリウッドを変えた映画。

実はアジアに限らず、アメリカの人種民族が多様化していく中で、有色人種が主役の映画も増え始めている。ステレオタイプではないリアルな姿をちゃんと伝えることで、お互いの文化への理解も高まって行くように期待したいですね。

(日本では9/28から公開)

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