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アメリカでは先週ロシア疑惑に関してかなり大きな進展がありました。そして実はこれは日本にいる私たちにも関係があるよ、というお話。
トランプ大統領の長年の個人弁護士でフィクサーでもあったMichael Cohen氏に、禁錮3年の刑期が言い渡されました。
でも主な罪状は直接ロシアとの共謀ではありません。税金詐欺、議会での嘘の証言、そして、トランプ氏のセックススキャンダルの相手、ポルノスターとプレイボーイモデルへの口止め料の支払いが、選挙資金規制法違反。
中でも最大の注目点は以下の2つ :
まず口止め料の支払いは、Individual 1 に命じられて行ったと明記されている。このIndividual 1というのはトランプ大統領のこと。つまりコーエン弁護士は、トランプ氏に命じられて口止め料を支払う罪を犯したことになる。
もう一つは嘘の証言、トランプオーガニゼーションはモスクワにトランプタワーを建設するために動いていたが、当初の証言では大統領選が本格化する前の2016年1月には、その動きをやめたと言っていた。ところが交渉は実際には選挙戦の真っ只中の 6月まで続いていて、ロシア政府関係者と連絡を取り合っていたと前言を撤回。
つまり選挙戦の最中、トランプ大統領とロシア政府の間に、これまで知られていた以上に密接な関係があったということがはっきりと示されたことに。
ではこれが何を意味するのか?
口止め料の支払いに関してだけでも、これが大統領でなかったら既に起訴されていた罪状と言われている。
ところが、在職中の大統領は起訴されないという前例がある。でももし2020年再選されなければその後に起訴される可能性もあるという論調も。
では弾劾はされないのか?
実はやろうと思えばできる。なぜなら11月の中間選挙で下院は民主党が大躍進、与党になったため、年明け1月以降に弾劾裁判は起こすことは可能。でも実際に裁判を行うのは未だ共和党が優勢な上院であること、さらに今は根強い支持者からの反発を恐れて、そう簡単にはやらないと見られている。
しかし 、ロシア疑惑の捜査はまだまだこれから進む。
これまでムラー特別検察官はトランプ人脈を外堀から攻め始め、既に33人が訴追または有罪を認め、ついにトランプ氏に最も近いコーエン氏に及んだ。
その彼も司法取引しているから、まだ一般に知られていない、トランプ大統領にとってダメージになる内容を、既にムラー検察官に話しているかもわからない。
さらにトランプオーガニゼーションの金庫番も司法取引に応じている今、ムラー検察官の次のターゲットとして残っているのはトランプファミリーしかいない。彼らの捜査でついにロシアとの共謀が暴かれるのかどうか???
捜査はトランプ大統領のレッドラインを既に超えている状況だが、支持者に対しては「コーエンは嘘つきネズミ、ロシア疑惑はただの魔女裁判」と言い続けている。
ところでここからが日本、というか世界の人が影響を受ける部分、
今世界を不安に陥れている中国との貿易戦争、実はこれがロシア疑惑と関係がある。
トランプ氏は貿易戦争を前面に押し出すことで、自分が手柄をあげられるだけでなく、中国という巨大な敵に対峙することで、分断した議会や、ヨーロッパ、日本も一致団結させることができる。さらにロシア疑惑からも目をそらすことができる、まさに一石4鳥じゃないかと考えているフシがある。
ただそのやり方のまずさが世界経済の混乱に拍車をかけているのも確か。
トランプ大統領が次に中国を相手に騒ぎ始めたら、ロシア疑惑でかなり追い込まれてきていると思ってもいいかもしれません。