012919
大坂なおみ話、もう大量に出回っていますよね。
もちろん日本人としてテニスの世界ランキング1位はすごい。でもこれを地球レベルで俯瞰して見ると、もっとすごいという話を、アメリカメディアの報道を引用しながら今日はやりたいと思います。
まずCNNの記事タイトルは「Naomiは世界の女子テニス界の新たな夜明け」
日本人として初めてなのはもちろん、アジア人としても初めてのグランドスラム制覇。もともとテニスは西洋のスポーツ。ところが世界レベルのテニス選手がヨーロッパやアメリカではなく、アジアで育って、ついにナンバーワンになったのは、世界のテニス界全体の未来にとって大きな希望。
そして、彼女の21歳という若さにも注目。
テニスの世界、今世代交代が強く求められている。男子はBig4, Federer, Nadal, Murray, Djokovicの次がいない。女子も過去20年間Williams SistersやSharapovaなどのスターが君臨したが、これまで次がいなかった。そこに彗星のごとく登場したのがNaomi Osaka。
記録で言うと、グランドスラム初優勝に続いて2回目を連続で制したのは、2001年のJennifer Capriati以来。そしてこの若さでランキング・ナンバーワンになるのは、ほぼ10年ぶり。さらに年齢に関係なく、グランドスラムに2連勝したのも2015年のSerena Williams以来。
そのSerena Williamsは、それまで白人のものだったテニスの世界に、黒人プレイヤーの存在感を永遠に刻みつけたが、日本人であってもmultiracial(いくつかの人種にまたがっていると言う意味)であるNaomiは、そのレガシーを受け継ぐ存在とも言える。また、世界のいろんな国籍や人種の人から見ても親しみやすいルックスも素晴らしいと思います。
これだけの要素が揃い踏みしたNaomiは、世界のテニス界の希望の星と言っていい。
さらに彼女はこれまでにいなかった、革命的に新しいタイプのチャンピオン。
そのいい例がオーストラリア・オープンの優勝スピーチ。
まず対戦相手のPetra Kvitovaに感謝。これはどんな選手もやる。
そして「こんなに暑い中見に来てくれたお客さんに感謝」これもまだ普通。
ところが続いて、「ボールキッズやボランティアの皆さんにも感謝」
これは私が知る限りまず聞いたことがない。
コート上であれだけの死闘を繰り広げながら、ボールを拾って走り回るキッズ達や、ボランティアにまで目配りができているというのはちょっと驚き。
チャンピオンといえば孤高の存在であり、どこか人を寄せ付けない傲慢で自分中心な部分も合わせ持っているというのが、これまでのイメージだったが、彼女は全く違う。
誰にでも丁寧にお辞儀をし、飲み終わった水のボトルを自分で捨てるという謙虚さ。全てがピュアに感謝の気持ちから来ていることが黙っていても伝わっている。
ちなみに先週こんまりの話をした時に、ミレニアル世代のアメリカ人は「一つ一つに感謝して生きること」で人生を変えようとしているという話をしましたが、そんな彼らにNaomiのキャラが響いているのは間違いない。
そしてもっと驚いたことに、彼女の謙虚さが彼女の武器にさえなっているという。
テニス・ドットコムの記事は「謙虚さでグランドスラムを制覇した」とコメント。謙虚さが地に足がついた態度を生み、どんな相手も舐めてかからない、逆に過剰に恐れない、ひたすら自分のプレーをする強さにつながっていると絶賛。
謙虚さと言えば、日本人のトレードマークと世界も認めているところだが、新しい時代のチャンピオンの評価ポイントがここにあるということを、私たちもう一度考えてみてもいいのでは?もしかするとそれはテニスだけでなく、これから難しい時代を生き抜くための武器なのかも。