022019
アマゾン利用していますか?
現在e-commerceでのアメリカでのシェアは驚きの47%。2位のe-bay 6.1% 3位Walmart 4.6%と比べてももう比較にならない。アメリカ人はもうアマゾンなしでは生きられない体と言ってもいいでしょう。
このアマゾン、現在本社はシアトルですが、第二のheadquarterを作るという発表が去年ありました。
アマゾン本社が来ることで、大規模な地域再開発と雇用が生まれるから、全米の都市がオリンピック誘致なみのラブコール。結局2都市に同時に作られることが決まり、それがヴァージニアとニューヨーク。
ニューヨーク!?はちょっと意外かもしれませんが、実はニューヨークは既に、多くのIT企業がひしめく全米でも有数のハイテク都市で、今回アマゾン本社決定で、さらに2万5千人もの雇用が生まれ、サンフランシスコを抜いて全米ナンバーワンのハイテク都市になるはずだった。
ところが先週になってアマゾンが突然「やはりニューヨークはやめます」と発表、誘致に力を入れていたニューヨーク州知事と、ニューヨーク市長もびっくり。
いったいなぜ? 実はこの理由を見て行くと、ニューヨークという街の特殊さと共に、アメリカ人特に若いミレニアル世代の価値観が、今大きく変貌しつつあることがわかるんです。そしてさらに2020年の大統領選の構図も見えてくる。
まず多くのニューヨーカーはこの結婚が破談になったと聞いたとき、内心「やっぱりね」と思い、同時にちょっとホッとしました。なぜなら、ニューヨークは今でさえ世界有数の物価が高い街。家賃もどんどん上がって庶民の住む場所がなくなりつつあります。この上IT系の高年収のアマゾンの社員が大勢入ってきたら、今のサンフランシスコのように、誰も住めない街になってしまうことは目に見えていたからです。
それにアマゾンが来なくてもニューヨークに来たい企業はいくらでもあると強気です。だからニューヨーク州議会は、アマゾン受け入れに関して時間をかけようとした。そもそも2万5千人の雇用と引き換えに3千億円もの助成金をあげるんだから、そう簡単に考えてもらっちゃ困る、というのがニューヨークの態度。
さらにアマゾンの労働組合への否定的な態度や、地元ニューヨーカーを雇用するかどうか不明確なことなどが指摘され、草の根の反対運動にもあいました。
ところがアマゾンはこれまで、どの都市で何をしようとしても大歓迎され、ほとんど無条件で受け入れられて来た過去があるから、このクールな扱いにびっくり。これは先行き厳しいぞと判断して「やめます」ということになった模様。
ここで押さえておきたいのは、アマゾンの破談が象徴する価値観の変貌です。
実はアマゾンを始め、グローバル企業が巨大化し、政府よりも大きな力を持つことに対する警戒感は日に日に高まりつつある。そんな中、 反対運動をリードしたのは、去年11月の中間選挙で当選した、史上最年少29歳(ミレニアル世代)の下院議員、Alexandria Ocasio-Cortes(アレクサンドリア・オカシオーコルテス)
彼女、早くもグリーン・ニューディール政策を提案、厳しい環境対策と同時に雇用の保障など社会民主義的な政策を掲げて熱い注目を浴び、 下院の新たなスーパースター的存在です。
彼女が代表するのは、若い世代の間に広まりつつある「庶民は普通に働いても生活できない」資本主義への否定的な考え方。
そして実は来年の大統領選挙に向け同様な考えを持つ民主党候補が次々と擁立されている。こうしたプログレッシブな候補と、企業と富裕層優遇のトランプ氏が激突。そして、そのどちらにも賛成していない有権者層をどう取り込むのか?という、混乱の構図がすでに見え始めています。