091119(JFNオンプラで話きれなかったことも含めてポストしています)
今日は9月11日、特に私たちニューヨーカーにとっては非常に特別な日です・・・
2001年、アメリカ本土が攻撃されるという歴史始まって以来の衝撃を世界に与えた911アメリカ同時多発テロからちょうど18年。
思い出せば・・・もう一言では表せない記憶が蘇って圧倒されてしまうんですが、不思議なことに私たちが共通にまぶたに焼き付いているのは、事件が起こる直前の、9月の朝の抜けるような青空と爽やかに澄んだ空気だったりします。
今朝は少し蒸し暑い朝でしたが、ワールドトレードセンターのメモリアルプラザには遺族が集まり、黙祷と共に亡くなった3000人近い方の名前が読み上げられました。夜にはトリビュート・イン・ライトと呼ばれる2本の光の柱が、夜空を照らし出す・・・この18年間毎年変わらず行われ、これからも変わることはない大切な儀式。
そんな中で今年新たに注目を集めたのは、メモリアルプラザにこの春お目見えした、花崗岩の石碑です。
テロ攻撃の後、救助復旧作業に当たった警察官や消防士、そして一般のニューヨーカーは、多くの粉塵や有毒物質に晒されました。そしてこの18年間の間に「911病」と呼ばれる呼吸器疾患やガンなどで亡くなった人はおよそ2000人に上っています。(警察官241人、消防士204人が犠牲に)この石碑はこうした人々に捧げられているのです。
911病と闘う人は未だ3万3千人に上り、彼らに対する国からの医療の資金が決して枯渇しない事を保障する法律も今年成立しました。
さらに今年の911を前に、ニューヨーク州では全ての学校に対し、911を記念日として黙祷を捧げることが義務付けられました。18年という月日が過ぎて、911を知らない世代が育って来ているからです。
よくお話ししている2つの若者世代、ミレニアル世代(23〜38歳)とZ世代(10〜22歳)。
この二つの世代の違いは、インターネットなどのデジタルテクノロジーがなかった時代を知っているか知らないかという違いで、22〜3歳で区切られていますが、実はこの2つの世代の違いは、911を記憶しているかいないかというところでも分けられます。
思い返せば18年前のテロ直後、小学校の先生に取材した時に、一体これを子供達にどう教えればいいのかというので本当に悩んでいました。
それまでの強く完璧な国アメリカというのが崩れ、さらに社会に出る頃にリーマンショックも経験したのがミレニアル世代です。そのためアメリカという国に対してそれまでの世代と全く違う感覚を持っています。
さらにその後のZ世代も大きな影響を受けています。彼ら自身に911の記憶はありませんが、彼らの親たち(X世代)は、リーマンショックも含め、何が起きてもおかしくはないという感覚で子供を育てたために、Z世代の子供達はお金の使い方など含め、これまでになく堅実な世代、さらに自分と違う者や弱い者に対する共感がずっと強い世代とも言われています。
一方この2つの世代で、国に対する愛国心がとても重要という人は4割にとどまり、今の50代以上の年長世代(8割)との大きなギャップを示していますが、やはりこれも911に関係があると言っていいでしょう。とにかくアメリカが一番という感覚も若い世代にはもうありません。
いずれにせよ911を境にアメリカは大きく変わり、911の子供達が育ち経済や政治の中心になろうとしている今、アメリカは大きな過渡期にきています。そういう意味でもNever Forget決して忘れてはいけない出来事なのです。