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お伝えしているようにNYの感染カーブは下がり続け、州内の一部地域で今週金曜日から段階的な経済活動再開が始まりました。その他地域の自宅待機の期限は5月28日までとなっていますが、感染が集中するここニューヨーク市内はそれも無理そうな気がしています。
完全シャットダウンになって8週間たちましたが、この間ニューヨーカーが粛々と自宅待機を続け正気を保って来れたのはあるテレビ番組のおかげだと思います。
私は勝手にクオモTVと呼んでいますが、毎朝11時半頃から行われるクオモNY州知事の記者会見。
クオモ州知事のリーダーシップは日本でも話題になったのではないかと思いますが、大人の女性にとっては結婚したい男性ナンバーワン(去年長年の彼女と別れたばかり)3人の娘のパパで、若者にとっては理想のお父さんみたいになっています。
政治力はものすごくある人ですが、州知事ですから普段はほとんど目立ちません。それが逆にこうした危機が起こった時に生きている気がします。
毎日ランチタイム前のほぼ同じ時刻に約30〜40分生放送。それもあらゆるテレビチャンネル、youtubeやtwitterなどのソーシャルメディアでも同時中継。そして内容もほぼ同じ順番で粛々と進んで行きます。
まず感染カーブのグラフを見せる。
今何人が入院しているのか(NYは入院者のほとんどは重症者だからこれが大きな目安、(今6220人)
そして昨日1日で新たに何人入院したのか(400人)、何人が亡くなったのか(157人)。毎日同じグラフで見せてくれるから、自分たちが今どこにいるのかよくわかる。
同時に検査体制がどうなっているのか、毎日発生する新たな問題も取り上げ、現状と対策を説明する。都合の悪いことを隠さないし、わからないことはわからないとはっきり言う。
先が見えず何もかもが不透明な今、毎日同じ時間に登場し、定点観測のように事実をはっきりわかりやすく提示してくれることは、真っ暗な森の中を照らしてくれる光のようにありがたいものと実感すします。
それだけではない、感染カーブが恐ろしい勢いで上がっていた時にはこう説明。
「ニューヨークに感染者が多いのは、世界中からの人をオープンに受け入れ、密集して住んでいるから。コロナではそれが弱みだが、同時にNYが特別な理由。お互いが繋がって暖かく受け入れる人間味のあるコミュニティ。家族のように力を合わせて喜びも痛みを分かち合うそれがニューヨーク。だからこそコロナにも打ち勝つことができる。その経験を他の街とも共有する。それがニューヨークなのだ。」
そして最後に必ず見せるスライドがあります。
「ニューヨークはタフな街、でもそれだけではない、賢く、規律を守り、一つに結集し、そして愛情がある街。」
実はクオモ州知事にはこういう信念があります。
「ニューヨーカーに自宅待機を強制することはできない。でも彼らを信用し事実をきちんと伝え、それに納得してくれさえすれば、逆に自発的にやってくれるのだ。」
そして、
「後は全て自分が責任を持つ。」
その結果、感染カーブも下がってきた。州政府とニューヨーカーが一緒になってコロナと戦って結果を出してきたという手応えもすごくある。
今回のパンデミックでこうしたリーダーシップをトランプ大統領には全く期待できないだけに、クオモ州知事の役割の重さは計り知れません。
次は経済活動の再開とボロボロになった経済をどうするのか?それに暖かくなって今週末はたくさんの人が外に出ている。今後もニューヨーカーの気持ちを一つに束ねて行ってくれることを期待したいと思います。